●ここ数年の間、生命の誕生から成長、終極、そして誕生へという輪廻転生をテーマしています。
----今回の作品のテーマについてお話ください。
 HATCH EGGSの平田さんから、依頼を受けたのですが、「好きなようにやってくれ」というオーダーだったんです。いつもはクライアントからこんなイメージでとかターゲットの年齢層は何々でとか、詳しい打ち合わせをしてから、作品のテーマやイメージを考えていくので、好きなように作ってしまって本当にいいのかなって（笑）。ただ、HATCH EGGSが卵を孵化させるという意味なので、私の中にある生命の誕生から終極そしてまた誕生してという、ここ数年、取り組んでいる輪廻転生というテーマとマッチングしたので、楽しみながら制作させてもらいました。
----CGにたずさわるようになったきっかけは？
昔から映画が好きで、自分で作ってみたいなと漠然とですが考えていたんです。監督になりたいと思った時期もありました。でも、大変そうですよね。誰かのアシスタントについて、長い間修行してやっと監督になれる。それにもまして、役者をはじめ、カメラや照明、音声とか大勢のスタッフが必要ですし、お金、時間、スタジオやロケという空間も・・・。
それで、何とかもっといい方法がないかなと考えていたら、CGに到達したんです。機材やソフトを使いこなせれば、基本的には1人で思い通りに作り込んでいけますから。私の表現したいものには、CGがピッタリだということになりました。
●はっきりとした理由はないのですが、内面的な強さや美しさ、運命の儚さのようなものに魅力を感じています。
----作品のテーマやビジュアルのアイデアはどのように浮かんでくるのでしょう？
これといった思考パターンのようなものはありません。言葉で説明するのは難しいのですが、頭の中に完成品のイメージが浮かんできます。そこから、細かいところを作り込んでいきます。以前、取材で作品が女性的らしいと指摘されました。男の子が好きなものって、車、ロボット、精密機械とかありますよね。それは、意識してないけど好き、何となくでしょう？私は、意識してないんですが、何となく綺麗なものが好きなんです。見た目もそうですが、内面が綺麗なものにより目がいってしまうんですね。それで自然と、生命の誕生とか成長とかがテーマになっていくようです。そのとき初めて気がつきました。
----ニワトリや歯車、光や影などがかなり細かく描かれていますね。
 計算処理に時間をかけました。雄鶏が走っている籠の段数、それと噛み合う小さい歯車の数、中段の歯車の回転数や回転方向などを全て計算式にあてはめて作ってあります。雄鶏の歩幅に合わせて回転が始まり、スピード感が決まって、次の動きに伝わっていくので、見た目に自然に走っているように工夫する必要があります。ですから、足を前に踏み出すと体重がその足に乗るように計算してあります。卵が縦に落ちてきて、横に転がっていくところなど、随所にリアル感を出すように心がけました。CGは、リアルに見せようとすればするほど、計算式の数が多くなっていきます。ですから、アーティスティックな感性と数学的に物を見ていくロジカルな感性が必要になってきますね。
----今後の活動予定についてお話いただけますか？
もちろんメジャーな作品を作っていきたいと考えています。でも、そればかりに気をとられていると、私の中のバランス、良い言葉が見つからないけれど、感性の部分とテクニックの部分のバランスみたいなもの・・・。それが崩れてしまいそうな気がするんです。ですから、基本的には焦らずにマイペースで、仕事をしていければと思っています。もちろん、その時々の自分が置かれている状況で、変わってくるとは思いますけれど（笑）。それから、新人アーティストとの交流をどんどんしていきたいですね。自分が発達、成長していくためには、色々な感性の人と交流することが必要だと感じています。今回の作品について、「私だったら、ここはこう作る」というご意見のある方は、どんどん連絡してもらいたいと思っています。よろしくお願いします。
■と言うことで、今回の羽織さんの作品について、ご意見、ご感想を大募集しています。
もちろん、お仕事の依頼、お問い合せも歓迎します。HATCH EGGSホームページの「お問い合わせ」をご利用ください。
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